看護にとって大切な事って、考えた事は有りますか?そもそも看護師にとって大切な事とは何なのでしょうか?「注射や採血が上手」「褥瘡の処置が的確」と言った技術面も大切な事ですが、もっと重要な大切な事が有るはずです。初心にかえり看護とは何か?何が大切な事なのか?振り返ってみましょう。
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そもそも「看護」と言う言葉の意味は?
「看護」の「看」と言う漢字の意味は、読み方は、「みる」とも読めますが、「見る」や「観る」と言った映像や景色を見ると言った漢字では有りません。「看る」の意味は「手をかざして、注意深く見る」や「見守る」と言う意味になります。
「看護」の「護」と言う漢字は「まもる」とも読みます。意味は「傷を付けないように庇う」「付き添ってまもる」と言う意味となります。「守る」と言う漢字とは違い「守る」は、「失わないように保つ」事を意味します。そこで「看護」と言う言葉が生まれました。
いつから看護師は、看護において大切な事を自覚するのか?
看護師にとって大切な事を自覚する必要になる時期は、看護学生の時には既に自覚する必要が有ります。特に、ナースキャップを頂く戴帽式に参加しナイチンゲール誓詞を読むのですが、この戴帽式後からはもう看護学生では有りません。看護師としての技術もですが大切な事を身に付けて行きます。それが終われば看護師免許試験に臨みます。
看護において大切なこと
看護専門技術と知識
看護師は専門技術や知識を身に付ける必要が有ります。医療技術や薬は新しい物が次々出て来ます。看護師は新しい情報にすぐに気付く事が必要になります。そして、採血や注射等の技術や傷の処置を的確にスムーズに行う技術も当然必要となります。
コミュニケーション技術と寄り添えるケア
看護師は、患者さんや患者さんの御家族と話す機会が多いです。「もう駄目かもしれない」等の弱気な発言をする患者さんや患者さんの御家族は多いです。看護師は、その言葉を受け入れて話を聴く事と寄り添うケアをする事が必要になります。コミュニケーション技術と言いますが、看護師は常に聞き役である事が重要です。これを「傾聴技術」と言います。
誰にでも優しい気持ちでいる
看護師は、先輩・後輩看護師に対し年上や年下、勤続年数も関係無く常に笑顔で接する事が大切になります。つまり「平等」で有る事です。よく年下の看護師や勤続年数が短い看護師に対し上から目線の看護師さんがいます。中には、派遣職員やパート職員に対しても態度が偉そうな看護師さんもいます。上から目線は、とても気分が悪く感じますよね。看護師は勤続年数や派遣やパート等、待遇が違っていても同じ看護師です。「平等」で有ると言う事を忘れないで下さい。
相手の立場に立てる事が出来る
看護師は、相手の立場に立てる事が大切です。もし同僚看護師や患者さんに対し声を掛ける際「どのように声を掛けたら良いか?」「この言葉を掛けたらどう感じるか?」「自分だったら、どう感じるか?」等を考えて、相手の立場に立てる看護師が必要になります。相手の立場に立てる看護師さんがいる職場の雰囲気も良くなりイジメや人間関係のトラブルも無くなります。
看護師はどうあるべきか?
患者さんを人間として看る
よく「101号室の患者さん」や「あの糖尿病の患者さん」等、部屋番号や病名で患者さんを呼んでいるのを医療系のドラマで見かけます。実際の現場でも部屋番号や病名で患者さんを呼ぶ事が有ります。「パッチアダムスアナザーストーリー」と言う洋画では医師を志す主人公が糖尿病の患者さんに対し「患者さんのお名前は?」と聞いたシーンが有ります。周りの医学生は病名や糖尿病の進行度を聞いていたのですが主人公の「患者さんのお名前は?」と聞いたシーン。この事から「病気を見るのでは無く患者さん自身を看る」と言う事が大切になります。病気ばかり見ると、患者さんの生活歴を知る事も出来なくなり名前も「あれ?なんと言う名前?あの101の人」と言う感じになってしまいます。それは看護師として最低な事です。現在、看護師として働いている人も患者さんの接し方を変えて行くチャンスです。患者さんを一人の人間として看ましょう。
暴力や看護拒否が有っても強い精神を持つ
患者さんにケアを拒まれても、暴言を言われても看護師は「何さ!この患者!」「もう関わらない」と思ってはいけません。「この患者さんは何故このように拒否をするのか?」「この患者さんが何を感じて過ごしているのか?」等、患者さんを知る事と諦めずに患者さんと向き合う事が大切になります。
災害に立ち向かう精神と弱った人を守る看護
「東日本大震災」この自然災害で医療従事者特に、看護師は病院が津波で流されても看護を行う事が大切になります。私自身も東北の人間です。自分自身は、当時勤めていた会社に留まて看護ケアを行っていました。しかしあの震災では職場が津波で無くなってしまっても、家族が行方不明になってしまっても病院や避難所での看護ケアをするために留まった看護師は沢山います。自然災害はいつ来るか解りません。そこで、自然災害時に看護においての大切な部分と行動をご紹介いたします。
患者さんや弱った人を守りケアを行う
急な大きな揺れに、大抵の人は慌てて建物の外に走って逃げます。看護師はそれは出来ません。特に職場、病院や施設ではその場にいる患者さんを守らないといけません。患者さんは急な大きな揺れに驚きそして恐れています。「自分の家が心配。家に帰りたい」と思う患者さんも多いと思います。看護師は患者さんが怪我をしないように護る義務が有ります。看護師自身も「家に帰りたい。家族が心配」と思うのは当然です。しかし、看護師として自然災害時は患者さんを優先する必要が有ります。
震災関連死の予防看護
「東日本大震災」の被災者は仮設住宅に住んでおり独りで暮らしている人もいます。漁業をしているとある男性が津波で家族と仕事を失ってしまい自暴自棄になり、飲酒を繰り返し糖尿病が悪化。両足壊死で切断してしまったと言う事が有りました。両足を失った男性はそれでも自暴自棄で暴飲暴食を辞めませんでした。そんな時に仮設住宅の往診で一人の看護師の言葉で男性は義足を付けて仮設住宅の敷地内を掃除をするボランティァ活動をするようになったのです。糖尿病の治療も積極的になりました。その看護師は男性に「来るな!」と言われても毎日、男性の仮設住宅に通って看護ケアを行っていたのだそうです。男性が変わった看護師の一言は「○○さんの元気な顔を見る事が私の仕事のスタートです」と言う言葉でした。男性は往診も訪問看護師サービスが楽しみになり、そして他の仮設入居者とも話せるようになって行きました。看護師は、患者さん自身を病気から守った事となります。震災関連死は、家族や仕事が無くなった事でも起こります。看護師は、患者さんを関連死から守る義務が有ります。
自然災害は実際は、甘くない
「東日本大震災」で他の県から看護師がボランティァで来た事が有ります。しかし、改めて被災した場所を見て驚き不安を感じた看護師が多いと聞いた事が有ります。ある医師が「この避難所に医師2名と看護師3名で行って欲しい」と指示を出しました。その避難所は沿岸地域に近く津波被害が有った場所でした。しかしある看護師が「地図は有りますか?」と指示を出した医師に聞きました。指示を出した医師は不機嫌な表情で「行くか?行けないかだ!」「地図何て無い。地図が有ったって今は役に立たない」と強く言ったのだそうです。そうです。被災地の看護ケアは甘くないのです。「東日本大震災」では津波被害で地図など役に立たない状況でした。「避難所にケアに行って欲しい」と言われたら躊躇している暇は有りません。躊躇している間に被災者が避難所で亡くなっている事も有るのです。
時には休息を!
被災地に住む患者さんのケアを行う看護師。時には休息が必要になる時が有ります。看護師も人間です。疲労を感じる事も有れば、被災地の悲惨な現状を見て泣いてしまいたくなる時や目を背けたくなる時も有ります。「看護師さんって強いイメージが有る」「疲れ知らずに感じる」と思ってしまう人は大きな勘違いをしています。実際に、私自身も3月11日に被災してから3月末に体調を崩してしまった事を覚えています。被災者が亡くなる場所に立ち会った事が多いためだったためか?目を背けてしまったのです。休息は看護師にとって、体を休めて「また仕事頑張ろう」と言う疲れをリセットする行為です。そのため休息は大切になります。看護師だけでは有りません。医療従事者や介護職員は患者さんやお客様を被災者として守る事に従事して来たプロ達にも休息が必要になります。
自然災害を風化させないで、記録に残す
自然災害は、いつ起こるか解りません。看護師や医療従事者は経験を風化させずに記録に残す事が重要になります。そして災害時マニュアルとして経験を活かしたマニュアル作成をします。災害の記憶を風化させてはいけません。もしまた大きな災害が起きた場合、その経験とマニュアルが役に立ちます。新人看護師への指導にも繋がります。
まとめ
看護において大切な事を知って頂けたでしょうか?「東日本大震災」が起きて7年経ちます。看護師の免許取得のため勉強中の人も、看護師として働いている人も改めて自分自身の看護において大切な事を探してみてはどうでしょうか?看護において大切な事は、看護師一人一人異なって来ます。「私は、患者さんの心のケアをする事を大切にしている」「私は、患者さんの話を聴く事を大切にしている」等一人一人、大切な事が違って来ます。看護において大切な事は、看護師となって行いたい目標と同じです。自分自身の看護師としての目標を立ててみてはどうでしょうか。初心に返ってみる事も良いと私は思います。