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精神科認定看護師の業務と向いている人材

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認知症や躁鬱病、統合失調症等の疾患が有る患者さんは精神科に通院や入院治療を行い症状の軽減を図ります。その重要な業務を担うのが「精神科認定看護師」です。

今回は、「精神科認定看護師」になる方法と業務内容、向いている人材についてご紹介いたします。

精神科認定看護師とは?

精神科認定看護師とは、精神科勤務の看護師さんで、精神科の看護領域において優れた看護能力や技術、知識が有ること認められた看護師を言います。

1995年に日本精神科看護協会に精神科認定看護師の養成の法律が出来ました。

精神科認定看護師になる方法は?

精神科認定看護師になるには、まずは看護師免許が当然必要になります。そし看護師免許取得後の実務経験が5年以上必要になります。その内の3年以上は認定看護師分野の実務研修を受ける必要が有ります。

つまり3年以上は精神科勤務が必要になります。

そして精神科認定看護師の教育機関で講習と実習を半年615時間以上受ける必要が有ります。講習と実習が終われば認定審査(筆記試験)が有ります。審査が通れば精神科認定看護師の資格を得る事が出来ます。

尚、精神科認定看護師は5年ごとの更新が必要です。更新する際は研究等の認定審査で50点以上採る必要があります。

精神科認定看護師の業務は?

精神科の病院やクリニックでの勤務

精神科の病院やクリニックでは、精神科認定看護師は当然看護業務も行いますが患者さんのカウンセリング業務も行います。又、他の看護師へ指導するために精神科の講習を開き看護師の育成を行います。

患者さんは若い人からお年寄りまでが対象で躁鬱病や統合失調症、認知症の患者さんの看護を行います。過食症や拒食症等の患者さんのカウンセリングや食事生活の相談も聞く事が有ります。

レデイースクリニックや婦人科

婦人科は妊娠出産の患者さんだけでは有りません。不妊治療で疲れてしまっている女性や、何かのキッカケで流産をしてしまった女性、そして訳有って中絶してしまう女性もいます。

女性は心に傷や疲れを感じてしまいます。そのために助産師や医師と連携し精神科認定看護師がカウンセリングを行う事が有ります。

学校や企業

学校や企業で生徒や社員は悩みを抱えており先生や上司にも相談出来ない環境な事が有ります。特に学校はイジメや虐待が有ったり企業ではパワハラやマタハラが有る事もあり「自殺」「過労死」の原因に繋がります。その場合精神科認定看護師を派遣し相談室を設けたりし対応します。

企業看護師が精神科認定看護師の資格を取得している事も有ります。

市役所、公共施設

よく「町の相談室」等、広報で市役所や公民館に相談室を月に2回位設ける事が有ります。その相談員は精神科医や精神科認定看護師、臨床心理士の場合が有ります。

町の相談室等は無料相談で気軽に悩みを話すことが出来ます。悩みをため込まないためにとても良いと思います。

老人福祉施設・介護サービス

認知症患者が増え続ける世の中です認知症は薬で症状を軽くは出来ますが被害妄想や幻聴、徘徊等の異常行動が増えて来ます。その場合、拘束や抑制をせずにどのようにしたら患者さんが生活しやすくなるか?被害妄想が酷い時の患者さんからの聞き取り業務を行います。

その他にも認知症患者さんの御家族の相談業務も行い、精神科認定看護師として認知症等の疾患の講習を介護員の人材育成のために行う事が有ります。

精神科認定看護師に向いている人材は?

患者さんに優しく笑顔で接する事が出来る

看護師は当然、患者さんに優しく笑顔で接する事は当然です。患者さん自身が看護師の笑顔で癒され安心する事が有ります。

穏やかな性格

ズケズケ言われるより、やんわり優しい口調で話された方が人は良いものです。患者さんだってそうです。

特に精神科に罹っている鬱病が有る患者さんに強い口調で話すと興奮させてしまったり、「怖い」「責められている」と感じてしまいます。

心の強さを持っており根気強さがある

患者さんは看護師を敵視し拒絶する事が有ります。特に精神科の患者さんは幻聴や幻覚で看護師を「怖い物」や「化け物」と見えてしまう事が有り、患者さんに近寄れば暴れて看護師を拒絶する事が有ります。

そんな暴力や看護拒否にも屈しない心の強さを持ち根気強く患者さんに声を掛ける事が出来る看護師さんは良いと思います。

患者さんとの信頼関係を築ける

患者さんを見守り、問題行動や看護拒否と言う行動も全て受け止め信頼関係を築けると良いでしょう。又、患者さんやご家族に常に見られていると感じる事が重要になります。

患者さんの存在や居場所を作る事が出来る

精神科の患者さんは「孤独感」と言う物を感じている人が殆どです。看護師は、そんな患者さんの存在を認めて、居場所を作り安心感を与える必要が有ります。

常に聞き役に回る事が出来る

患者さんは悩みを話したくて聞いて欲しい人が殆どです。看護師は、悩みや話を聞く際は遮らないように、頷き目を見て話を聞きます。話を聞く際は、足を組んでみたりと言う患者さんと壁を作ってしまう動作は禁止です。患者さんとの距離を近くする事が優先となります。

精神科認定看護師に不向きな人材は?

業務に対して協力やチームワークがない

「私が担当している患者さんだけ見ればいいの」「私の業務だけする」と言う看護師は周りに結構います。それはチームワークを乱しており「協力しない」「手伝わない」とチームの他の看護師に言っているも同然です。

そんな看護師さんは、患者さんにも態度で出てしまいます。「私の受け持ちじゃないから」と個別化したりする事が有ります。

精神科は医師、看護師、薬剤師等で連携しチームで治療を行います。チーム治療が出来ないと、精神科認定看護師にはなれません。

「私は私は・・」と話を遮り意見を強く言う人

精神科の患者さんは優しく笑顔で、話を聞いてくれる看護師さんが心の癒しです。それを逆にしてみたらどうなるか?患者さんが悩みを話しても「そんな事無いから!」と否定し、お金が無くなったと被害妄想の患者さんに対しても「気のせいだから!」と言われたら「怖い看護師」になってしまいます。

患者さんの悩みや訴えを遮り自身の話ばかりする看護師さんは精神科認定看護師には不向きになります。

新人看護師に威圧的

チームワークや協力が出来ないにも入りますが、新人看護師は常に緊張しているものです。「大丈夫だよ。私も新人の時は緊張したもんだ」とやんわり先輩看護師が話すことで新人看護師は安心して業務が出来ます。そして離職率も減ります。

しかし、逆に威圧的な態度だったらどうなるか?緊張し小さいミスでも「何してんの!」「私だったら失敗しない!」「私が新人の時は、もっと努力した!」と威圧的な態度であれば新人看護師も離れてしまいチーム医療どころじゃありません。

定時だからと言って仕事を中断してしまう

最近、仕事を中断する看護師は少ないですが、以前勤めていた病院で「私、もう定時だから点滴終わったから針を抜いて置いて」と同僚看護師に言われた事が有ります。

自分自身、遅番と言う業務が有り点滴針を抜く暇が有りません。しかし、定時で上がる同僚は点滴管理と言う業務が有ります。定時で有ろうと決まった業務を終了させる必要が有ります。

つまり責任能力が看護師には必要です。精神科勤務となれば看護師一人一人に業務担当が有ります。一人が業務を中断してしまえばチームワークを乱す事が有ります。

環境整備を仕事として見ない

病院には清掃員が在中している事が有りますが、清掃員は待合室や廊下の環境整備が主です。ナースステーションや医務室は看護師が環境整備を行います。

「えっ!何で掃除しないといけないの?」と疑問に思いますが患者さんが汚いナースステーションや医務室を見て「汚いな」「何で掃除しないのかな」と不快に感じるケースが有ります。きちんと当番を決めて掃除を行う必要が有ります。

精神科認定看護師になると得られるメリット

専門分野の指導が出来る

認知症や躁鬱病等の精神疾患の講習を開いたり指導が出来ます。他の病棟から指導の依頼が来て活動の範囲が広がります。

昇進に影響が有る

認定看護師の資格を取得した看護師で主任に昇格した人は全体で10%いるようです。認定看護師は他の看護師のお手本となるのでリーダーとして出世するのは当然です。昇進すれば、給料も当然アップします。

夜勤が減るか免除になり勤務が楽になる

認定看護師は病院側の方針で、夜勤が少なくなるか又は免除になる事が多いです。それは何故か?認定看護師は、専門分野の指導や講習会、外来の相談窓口、勉強会の企画等を考えないといけません。そのため夜勤まで回らない事も有り、5年ごとの資格更新も有りレポート課題で50点以上採る必要も有ります。

認定看護師の業務が増える分、夜勤や遅番等の業務が減ったり無くなる事が有ります。

認定看護師の講習会の参加やレポート課題の取り組みで給料が発生する事が有る

認定看護師は、その病院や施設にいる事で医療看護加算にもなります。病院や施設から見たらプラスになり必要な人材になります。

そのため、認定看護師協会の講習会や資格更新レポート課題の取り組み等で給料や勤務外手当て、出張手当が発生する事が有ります。しかし手当てでも高額では無い事を覚えておいてください。

精神科認定看護師になると発生するデメリット

認定看護師業務が多い

普通の看護師勤務にプラスして、認定看護師業務が増えてしまいます。勉強会の企画立案、レポート、他の看護師への指導、外来窓口相談業務とバタバタし慌ただしい毎日になってしまいます。

お金がかかる

資格更新のために出張が多いです。出張手当や更新料は病院や施設から支給されても、交通費や出張先が遠いと宿泊費が発生します。又、認定看護師協会や教育課程への入学をする際に多額の費用が掛かります。

だいたい、教育課程への入学に5万円掛かります。入試検定に5万円、授業料を全て合わせて70万円、実習研修費に10万円掛かります。資格認定審査試験には、合わせて10万円掛かります。更新にも5万円は掛かると言う事です。

「高額すぎる」「でも認定看護師を取りたい」と思う看護師さんのための奨学金制度が日本看護協会に有ります。都道府県でも修学資金制度を取り入れている所も有ります。病院でも授業料の半分を支給してくれる所も有ります。安心して勉強しましょう。

まとめ

認定看護師になるまでは、時間や費用が掛かります。「私の得意分野の看護師になりたい」「他の看護師に指導をしたい」「病院のプラスの人材になりたい」と強く思っている看護師さん達には頑張って取得して頂きたいです。

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